削除依頼にどう応じるか:元広告主から「全部消してほしい」と言われたときに事業者が本当に負う義務

「すべて消してほしい」というメッセージ
遅かれ早かれ、こうしたメッセージが届く。かつて、時には何年も前にディレクトリに掲載していた人物が、プロフィール、写真、アカウント、そして昔の活動名をGoogleで検索すると今でも出てくる検索結果まで、すべてを消してほしいと頼んでくる。冷静な文面のものもあれば、法的な脅しのように読めるものもある。だが多くは単に疲れ切った人が書いたものだ。この業界を離れた、転職した、あるいは単にネット上の足跡を減らしたいだけで、理由を説明したくないという人も多い。
最初の反応は、これをワンクリックの作業として扱うことだ。掲載を見つけ、削除し、チケットを閉じる。この反応は両方向で間違っている。実際には実現できないことを約束してしまう場合がある。自社のデータベースから削除した掲載が、検索エンジンの索引や、数か月前にスクレイパーが取得したコピーの中にまだ残っていることがあるからだ。そして逆に、別の法律が保存を義務付けている記録まで消してしまい、本来は合理的な個人の依頼を、自分たちで作り出したコンプライアンス上の問題に変えてしまうこともある。
これは、本人の同意なしに写真が公開された場合とは状況が異なる。そちらは特定の連邦法によって、固定の期限内にサイトから削除することが既に義務付けられている。ここで依頼してくるのは、多くの場合その掲載を作った本人であり、望んでいるのは自分が作ったものを終わらせることであって、自分に対して行われたことを取り除くことではない。
この種の依頼は今後も繰り返し届く。だからこそ、サポート窓口に届くたびに一から判断するのではなく、決まった手順を用意しておく価値がある。その場の判断で対応する事業者は、結局次の二つの悪いパターンのどちらかに陥る。対応が遅すぎて法定期限を過ぎてしまうか、対応が速すぎて、削除しようとした記録の一つが本来保存義務の対象だったことに気づかないか、のいずれかだ。
法律が実際に求めること、そして保持を認めること
依頼者がEUまたは英国にいる場合、GDPRの消去権が適用されるが、それはこの規則が自社の事業にそもそも及ぶ場合に限られる。これはEUの利用者がいるか、EU向けに販売活動をしているかどうかによって決まり、その点は別の記事で詳しく取り上げている。適用される場合、期限はこの規則下のどのデータ主体の依頼にも共通するものと同じだ。不当な遅延なく対応し、いかなる場合でも受領から1か月以内に回答する。複雑または件数の多い依頼であれば、さらに2か月延長できるが、その延長とその理由を最初の1か月以内に本人に伝えなければならない。
依頼者がカリフォルニア州の居住者で、自社の事業がCCPAの定める収益額または個人情報の取扱量のいずれかのしきい値を満たす場合、検証済みの削除依頼への対応期限は45暦日となる。合理的に必要な場合は一度だけさらに45日延長できるが、その場合も最初の期間内に通知しなければならない。カリフォルニア州からのトラフィックがほとんどない小規模事業者であれば、これらのしきい値のどれにも当たらないこともある。しかし、依頼者の居住地ごとに管轄を確認するより、すべての依頼に同じ社内期限を一律に適用する方が運用は簡単だ。
いずれの制度も、未確認の主張だけに基づいて行動することを禁じている。GDPRもCCPAも、送信者が単に自分がアカウント所有者だと述べるだけのメールを根拠に、企業がデータを削除したり削除を拒否したりすることを認めていない。両者とも、データの機微性に応じた合理的な方法で、依頼者が本人であることを確認することを求めている。この確認は単なる書類仕事ではない。それこそが、本物の依頼と、誰か別の人間が他人に代わって「その掲載を消す」と決めてしまう事態との間を分けるものだ。
いずれの制度も、事業者が別途保持を義務付けられているものについては例外を設けている。成人向けコンテンツに関する連邦の記録保存規則に基づいて保持している年齢確認記録は、写っている本人が後から掲載の削除を求めたからといって削除可能になるわけではない。決済代行業者や税務当局が保持を求める記録、そして不正行為の検知と対応のために合理的に必要となるものについても同様だ。削除依頼が及ぶのは、公開中の掲載と、その広告主によるサイト利用に紐づく個人データまでであり、別の法律が独自に保存を求め、その法律が定める期間だけ保持すべきファイルにまでは及ばない。
実務上のポイントは、掲載とコンプライアンス用の記録を一つのものとして扱うのをやめることだ。両者は別のシステムに存在し、別の期限に従い、別の扱いを受けるべきものだ。公開中の掲載は完全に削除する一方、別の法律が求めるバックエンドの記録はそのまま残し、どの保存義務に該当するのかを示す短い注記を付けておく。この注記があるからこそ、何か月後に問われたときでも、法律が実際に認めた部分だけを削除しなかったのだと示せる。
掲載を削除しても届かない範囲
自社サイトとデータベースからプロフィールを削除しても、検索エンジンが既にクロールして索引に取り込んだコピーには及ばない。検索エンジンはこちらの事情とは関係なく、自身のスケジュールでページを再クロールする。その再クロールが行われるまでは、自社サーバー上には既に存在しないページでも、今では間違っている保存済みのテキストスニペット付きで検索結果に表示され続けることがある。
Googleの、古くなったコンテンツを更新するためのツールは、まさにこの隙間のために存在するが、こちら側で実際に変更が済んでいる場合にしか機能しない。ページが実際に消えているか、本当に内容が変わっているかしてから、ようやくこのツールはGoogleにその記録の更新を伝えられる。まだ公開されていて内容も変わっていないページを検索結果から強制的に外すためのレバーではない。実際には削除していないページに対して申請しても、単に拒否されるだけだ。
もう一つの別のツールでは、本人がGoogleに対して、連絡先情報やID番号といった特定の個人情報を、Google側の裁量で検索結果から外すよう依頼できる。元のページ自体は公開されたままでもよい。これは設計上、対象が狭い。誰かのプロフィールや経歴を一般的に削除してほしいという依頼には対応していないし、政府機関、報道機関、教育機関のサイトのページでは通常拒否される。うまくいったとしても、変わるのはGoogleが表示する内容だけであり、元のページ自体に残っている内容や、他の検索エンジンの索引には影響しない。
掲載が削除される前に第三者が既にコピーしていたもの、スクレイパーによるミラー、保存されたレビュー、独立したアーカイブに保存されたページなどは、完全に自社の管理の及ばない範囲にある。それらに手を伸ばすには、該当するその特定のサイトに対して個別に依頼を出す必要があり、一つの行動であらゆる場所に波及するわけではない。中には削除依頼に一切応じないサイトもある。きれいなインターネットを約束するのではなく、これをそのまま元広告主に伝えることこそ、実際に提供できることの誠実な形だ。
本人確認の問題:実際に依頼しているのは誰か
削除依頼は、本物の広告主本人からでなくても、本人からのように見えてしまう。元パートナーや競合他社、あるいは恨みを持つ人物が、アカウント所有者だと名乗るメールを書いて掲載の削除を求めることもある。未確認の主張だけを根拠に削除するディレクトリは、他人の事業を消す力を、見知らぬ第三者にそのまま渡してしまったことになる。
登録時に既に組み込まれている本人確認が、ここで自然な判断材料になる。掲載が公開される前に実施した本人確認手続きでディレクトリ側が既に保有している情報があれば、たいていは削除依頼が、どこからともなく現れた未確認の新たな主張ではなく、既に登録されている同じアカウント情報や連絡先を使って、同じ本人から届いたものだと確認するのに十分だ。
依頼内容が登録情報と一致しない場合、正直な対応は行動する前にさらに証拠を求めることであり、掲載の一部だけを削除する、あるいはそっと一時停止するといった妥協で済ませることではない。一時停止は、本物の広告主にとっては、まさにアカウントが乗っ取られたように見えかねず、説明のない一時停止はそれ自体がサポート対応を招くことになる。
確認が遅すぎれば、法定期限を過ぎるという代償を払う。未確認の主張に基づいて速すぎる対応をすれば、他人の掲載を失わせるという代償を払うことになり、見知らぬ第三者の依頼が一度処理されてしまえば、それを取り戻すのに期限はもはや存在しない。この二つの失敗のうち、事業が消え去ったばかりの広告主本人にはっきりと見えるのは一方だけであり、まさにそれゆえ、期限と同じだけの重みを与える価値がある。
都度判断するのではなく、仕組みを一度だけ作る
削除依頼には、フォームか専用のサポート窓口など、見える経路を一つだけ設けておく。メール、チャット、元広告主がたまたま覚えている連絡手段のどこに届くか分からない状態にはしないことだ。受付が分散していると、受領した日から期限が始まっていることに誰も気づかないまま、依頼が三週間も放置されることになる。
期限のカウントは、誰かが目を通した日からではなく、受領した時点から始め、その人物に実際に適用される期限、EUの短い期限か米国の長い期限かに照らして管理する。受領日と期限日だけを記録した簡単な台帳があれば、忙しい週に依頼が期限をすり抜けてしまうのを防げる。
毎回同じ短い手順を踏む。既存の登録情報と照らして本人確認を行い、本人確認が済んだら公開中の掲載と写真を完全に削除し、バックエンドのコンプライアンス記録は削除せずに既存の保存スケジュールに紐づけてフラグを立て、その後になってようやく、削除済みページについて検索エンジンの記録更新を依頼する。
依頼のそれぞれの部分について、実際に何が起きたのかを本人にはっきり伝える。掲載と写真はサイトから削除済みであること、検索結果は検索エンジン自身のスケジュールに沿って追いついてくること、そして特定の名前のある記録の種類が、都合のためではなく、特定の名前のある法的理由によって保持されているということだ。この回答は誠実に話を閉じるものであり、同じ本人や規制当局が後になって再び尋ねてきた場合にも、そのまま通用する回答でもある。


